研究課題/領域番号 |
08610327
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
文化人類学(含民族学・民俗学)
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研究機関 | (財)元興寺文化財研究所 |
研究代表者 |
伊達 仁美 (財)元興寺文化財研究所, 保存科学センター, 研究員 (00150871)
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研究分担者 |
植田 直見 (財)元興寺文化財研究所, 保存科学センター, 研究員 (10193806)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1997年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 絵馬 / 紀州東照宮 / 剥落止 / 御用絵師 / どうさ / 膠 / 絵の具 / 東照宮 / 剥落止め |
研究概要 |
昨年度に引き続き、修理跡のある絵馬の調査を行った。また紀州東照宮所蔵の絵馬についても、引き続き調査を行った。紀州東照宮の絵馬については、裏面に記載されている修理の記述を調査した結果、すべてが紀州藩の御用絵師により施工されていたことがわかった。 全体の調査を通じて、多くの絵馬は、神社などの気候の影響をもろに受ける場所での保管が多く、絵画や美術工芸品など伝世されてきた資料とは異なり、人為的に保存してきたものではない。したがって、修理方法や材料、技術も確立されたものはなく、修理されたものの中には問題のあるものが多かった。 修理を行うことでもとの図柄を傷つけたり、剥落してまったく痕跡がなくなっているものもあった。伝統的に行われた修理は、紀州東照宮の絵馬のように「絵師」によってなされてきたものである。ただし、その「絵師」にとっても日常彼らが描くような方法とは全く異なり、絵の具の剥落止め技術が必要となってくる。理論的には、剥離・剥落しかけている絵の具部分に膠分を補うことと理解していても、その濃度や方法はおそらく試行錯誤が繰り返されたのだと思う。すべての絵をきれいに洗い流し、改めて描き直しているものは現在でも状態が良いが、中途半端な剥落止めが施されていたり、もとの絵を尊重し剥落部分だけを描き直していたりしているものについては、状態が悪いものが非常に多い。これは、修理に携わった「絵師」の技術によるところが大きかったようである。 また、絵馬の修理は剥落止めや、描き直しだけでなく額の新調などにもみられた。
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