研究課題/領域番号 |
08610335
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
日本史
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
内田 九州男 愛媛大学, 法文学部, 教授 (10158777)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1996年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 非人 / 悲田院 / 人口 / 世帯 / 垣外番 / 非人仲間 |
研究概要 |
1)元禄11(1698)年段階の悲田院仲間の人口構成、所帯構成の特徴を明らかにした。同年人口は、604人、世帯は189あったが、内部的には、仲間、手下の2階層あった。仲間は、人口401人、世帯122、手下は人口203人、世帯67で、仲間の半分程度であった。世帯の中には、家主(戸主)と家族の世帯と家主(戸主)と家族に弟子が加わったものとがあった。弟子を含む所帯は、28あり、仲間で23、手下で5あった。弟子は後期の例では町々の垣外番を勤める者達であり、この段階ではまだ数が少なかった。垣外番の形成がまだほとんど進んでいない状態だったのであろう。その他人口の年齢別構成など人口学的な分析ができたが、比較対照すべき対象の選択が難しい。悲田院の人口は、寛政元(1789)年で379人、世帯数では享和4(1804)年で70と1世紀経ったら大幅に減少したが、その内実は不明である。 2)近世大阪の非人仲間社会の組織については、内田九州男「大坂四カ所の組織と収入」、内田九州男『悲田院文書』解題」で明らかにした諸点を再確認したが、その中で、第一に仲間社会の執行部である「御中」あるいは長吏宛に結婚願い、剃髪願い、住宅普請願い等が提出されている事例を発掘でき、長吏又は「御中」の支配は、仲間の生活全般に及んでいた事が確定出来た。第二に、仲間社会の構成単位は家であったが、その中で、女名前の家は強く忌避された事例を多く発掘できた。これは仲間社会が役で編成されていることを示している。 3)非人仲間の役の中心は、町奉行所の御用を勤めることで、それは市中探索等人に関わるものと従来は理解してきたが、今回、国単位の稲綿作柄探索書や村々の囲米探索書等を、在小頭-非人番(村方)の組織をフル動員して作り上げている事例が明らかになった。このことは、非人仲間とその組織が、町奉行所の村方情報や経済情報の掌握の重要な実働部隊となっていたことを意味した。
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