研究課題/領域番号 |
08610404
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
考古学(含先史学)
|
研究機関 | 京都橘女子大学 (1997-1998) 京都大学 (1996) |
研究代表者 |
五十川 伸矢 京都橘女子大学, 文学部, 助教授 (30127047)
|
研究分担者 |
内田 俊秀 京都造形芸術大学, 芸術学部, 教授 (30132822)
|
研究期間 (年度) |
1996 – 1998
|
研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
|
配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1996年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
|
キーワード | 鋳型 / 銅細工 / 鋳物師 / 鏡磨 / 錫アマルガム / 銅滓 / PIXE法 / ICP法 / 錫滓 / 銅合金 / 東北院職人歌合 / 鏡磨き / 砒素銅 / 原型(げんけい) / 種型(たねがた) / 真土(まね) / ぼう唐鏡(ぼうとうきょう) / 和鏡(わきょう) |
研究概要 |
1. 鏡作りの諸工程のうち、鋳型作りや注湯の工程は、よく紹介されているので、その後に来る鏡磨の工程について調査をおこなった。まず、民俗例として、富山県氷見市立博物館所蔵の鏡磨道具の実測・写真撮影をおこなった。また、文献史料、絵画資料を探索して、その技術を検討した。鏡磨という職種は、古代においてはみられず、鏡作りの最終工程として鋳工がおこなうものであった。しかし、中世の初めごろには、この工程のみを担当するものがあらわれた。かれらは、『鶴岡放生会歌合』『七十一番歌合』などに出現し、中世における職人として位置づけられている。中世の歌合に添えられた絵やその他の絵画資料から、その作業のありようがわかり、鏡磨の道具や材料には、時代的変遷と同時に強い伝統性をうかがえる。江戸時代の鏡磨の絵画資料にみられる道具には、氷見の鏡磨の道具に酷似するものがある。 2. 銅滓の文化財科学的調査は,京都市左京区京大構内AN20区SK30出土銅合金や京都市中京区京都大丸駐車場出土遺物などについておこなった。前者の分析はPIXE法でおこない、検出元素は、銅、砒素、ビスマス、銀などで、錫、亜鉛や鉛は含まれておらず、試料は鋳込み作業中などに熔湯がこぼれ固まったものであろう。後者の分析方法はICP法で、三宝伸銅工業株式会社に依頼した。試料は錫の比率も18%と高く、鉛の含有率はそれほど高くない。この組成の合金の色沢は、金色に近い銀白色であり、かなり黄色みが強く写る。したがって、表面に錫アマルガムを塗布するなりして銀白色に仕上げたものと思われる。 3. 以上の成果を、平成8・9年度の成果とあわせてまとめた成果報告をおこなった。報告書は、鋳造遺跡出土の土製鋳型、越中氷見の鏡磨道具と鏡磨の歴史、鏡製作技術と合金組成の3章からなる。
|