研究課題/領域番号 |
08610511
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
独語・独文学
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
渡邊 政憲 (渡邉 政憲) 鳥取大学, 教育学部, 助教授 (90032325)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1998年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1997年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1996年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 手話 / ろう者 / ドイツ語 / 音声言語 / 口話法 / 音声言語対応手話 / 健聴者 / 二重言語修得性 / 口話 / 言語学 / 言語感覚 / 視覚障害 / 聴覚障害 / コミュニケーション |
研究概要 |
聾者を身体的な欠損者とみないで、健聴者とは異質の言語手段を有した「言語的少数派」と定義し、彼らの人間存在は、無音感覚的・視覚依存的本姓と手話言語にある。これが本研究に通底する筆者の理念である。この認識のもとで得られた成果を箇条書に整理する。 1 聾者の二重言語修得は現実的な重要課題である。しかし同時に、手話の公的な承認は、健聴者の手話修得の試みと同義であらねばならない。 2 聾者と健聴者のそれぞれの第二言語はどの水準まで習得されるべきか。いまだ研究過程にある。 3 聾者手話と音声言語対応手話(所謂シンコム)の依存と相違の位相は手話研究の本質を形成する。 4 聾者手話の意味論・統語論・音韻論的な構造が聾存在と根幹的に関連しあっている。従って、手話研究は同時に聾者の感性的及び認知的な聾存在に関する研究を随伴する。 5 手話の地域的・国際的異形にもかかわらず、聾の外国人同士が手話コミュニケーションできる実情は、手話を国際的な視座から検討する意議を明らかにしている。この観点において、独・英・仏語の運用能力がある筆者は、外国手話と日本手話との位相について貢献できる。 6 筆者が言語及び一般知識を教育した完全聾の主婦には、ドイツ語を教授する独自の手法を用いた。また、「体音」なる振動作用を活用して、正しい発話行為に努めた。その結果、聾者は例外的なまでの明確な日本語・ドイツ語の発話及び優れた読み書き能力を獲得した。これは、国内の聾者との比較のみならず、数度の独語圏への研修において、高等機関の聾専門家から高い評価を得たことで裏づけされる。 7 聾者との交流を通して、筆者自身の手話運用能力を身につけた。聾研究の実践的な進捗は、研究者の手話実践を前提として成り立つが、それを筆者は相当程度に満たしている。
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