研究課題/領域番号 |
08620015
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
公法学
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
大江 泰一郎 静岡大学, 人文学部, 教授 (00097221)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1998年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1997年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1996年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 法文化 / ロシア / 社会主義 / 帝国 / 外国法の継受 / 主権 / 所有権 / 立憲主義 / 専制 / モンゴールのくびき / ロシア国家学派史学 / ローマ法 / 立憲手記 |
研究概要 |
(1) 本研究は、研究代表者の旧著『ロシア・社会主義・法文化』(日本評論社、1992年)の継続をなすものである。 (2) 本研究期間中に得られた知見の一つは、ロシアの法文化の西洋的法文化との分岐が、時期的には14〜15世紀ロシアにおける統一国家(モスクワ国家)の形成の過程と重なり、また社会構造的には西洋における土地支配領主権(dominium;Grundherrschaft)と対比される、独特の〈所有と権力〉の構造の形成と結びついているということであった。本研究の研究課題名(「立憲政の比較法文化史的研究-ロシアと西洋における主権と所有権」)はこの知見にいたる仮説にもとづくものであり、研究の成果いくつかはこの仮説の証明に向けられたものである。 (3) 本研究を立案したときに漠然と予期していたことではあったが、研究の進展とともに大きく浮かび上がってきた問題として、ロシア史における訴訟の構造、各時代の社会秩序形成に果たす訴訟の役割がある。研究期間中に得られた新たな知見によれば、今日に至るまでのロシアの法文化の構造的な型の形成にとって直接の契機となったのは、モスクワ国家形成期における訴訟の型とそれにともなう統治権力の構造の変化、端的にいえば糺問的訴訟の定着と訴訟の行政への包摂(行政の一環としての司法という類型の形成)である。さらに、この視角から見て重要なのは、農民のレベル(社会の底辺)における秩序形成が、行政の一環として政治権力によって遂行される司法したがってまた制定法の体系からは切り離され、そこに〈法外的秩序〉ともいうべき一種の法の真空状態が形成される。ロシアにおける「行政規則」としての制定法秩序は、じつは広大な〈法外的秩序〉を基層としてそのうえに成立していることになるわけである。現代ロシアにおける法秩序形成の難しさの歴史的事情もここに関連する。
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