研究課題/領域番号 |
08620032
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
民事法学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川濱 昇 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (60204749)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1998年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1997年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1996年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 適合性原則 / デリバティブ / 投資勧誘規制 / 自己責任 / 機関投資家 / 合理性の限界 / 断定的判断の提供 / 損失保証 / 説明義務 / フレーミング / プロスペクト理論 / 投資勧誘 / 断定的判断 / 不当表示 |
研究概要 |
本研究では自己責任の前提条件となる規制として、投資勧誘規制を取り上げた。投資勧誘の文脈では勧誘によって投資者のリスク認知が様々な形で影響を受け、自己責任の前提となる決定者の合理性がしばしば綻びる。そのため、証券会社等が勧誘する者の責任として、適合性原則等の規制を受けるべきこと、豊富な材料をもつ米国の投資勧誘規制を概観しつつ明らかにした。 投資勧誘が合理的な意思決定を歪める可能性として、まず投資勧誘者がフレーミング効果や評判資産を利用して投資者の意思決定にもたらす影響が問題となる。この背景には、不確実性下の損失回避効果に伴う期待効用関数の凹性がある。これらの効果が相まって、投資者の意思決定の歪曲が投資勧誘者によってもたらされ得ること、さらにその歪曲を勧誘者が利用するインセンティブをもち得ることを明らかにした。そして、適合性原則等が問題となった米国の判例・懲戒事件は、この観点から説明されることを見た。これらの検討を通じて、適合性原則適用の要因を、投資対象の性質、当事者の特性、投資勧誘の際の取引内容・対象の提示形態などから分類可能かどうかを研究した。また、米国ではデリバティブに関して、かなり洗練された投資家に対しても証券取引法上の適合性原則の適用可能性が強く主張されているが、その規制根拠を上記分析に基づいて探求した。とりわけ、そのような投資家に関しても意思決定の歪曲の可能性があるのか否かを吟味した。また、不当勧誘型の民事賠償事件での損害・因果関係論が自己決定権侵害の観点から変容しているのではないかという問題も検討した。
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