研究課題/領域番号 |
08620051
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
政治学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
辻中 豊 筑波大学, 社会科学系, 教授 (70145944)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1997年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1996年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 利益集団 / 利益団体 / 市民社会 / NPO / NGO / 多元主義 / コーポラティズム / 政治体制 / コ-ポラテイズム / 政治構造 / ロビ- / コ-ポラティズム |
研究概要 |
筆者は2年に亘る研究によって、日本と韓国という2つの、最も緊密に関係し政治経済的に多くの類似点と意味ある相違点をもつ社会において、以下のことを発見した。 1) 日本は、団体レベルにおいて、a)戦前と戦後の断絶が極めて大きく、戦後の団体噴出がなお市民社会の団体配置を相当程度規定している。b)日本の市民社会は、1960年代から現在まで一貫して着実に多元化しつつある。ここで多元化とは、団体数の着実な増大、団体種類の多様化、市民参加の拡大をいう。c)他方で、日本の市民社会の団体構成は、チャルマーズ・ジョンソンのいうところの発展志向型国家の特性を保持しつづけている。経済団体の数の上での優位と、官僚制の管轄の広範さである。d)90年代の日本団体セクターには新たな「市民主導の多元化」の動きが見られる。 2) 韓国では、a)1980年代後半に団体数の減少が見られ、その後、91年以後爆発的な数量的拡大および団体構成の変動が見られる。この変化は、日本と類似した発展志向型国家型の団体配置から市民団体主導型への変容であり、団体密度でも日本の3分の一程度から日本を凌駕する水準への変容である。b)この変容の解釈を巡って、3つのシナリオを仮説化できる。すなわち、b-1)団体バブルであって、単に一時的な反作用的現象である。 b-2)日本型から西欧型多元社会への変容の過程であり、実質的である。b-3)韓国市民社会は二重構造であり、団体はエリートレベルの現象であり、多元化したとはいえ、このレベルだけの問題である。c)上記の団体状況が、1997年以後の韓国経済社会のIMFショックによっていかなる影響を受けたか、その意義を今後検討する必要がある。 3) 団体設立に関して、日本、韓国で共通のパターンが見出される。すなわち、a団体設立の波は歴史上何度かみられるが、それがすべて維持され現存するわけではない。b日本では、1945年、韓国では1987年以前の相当数の団体が消滅したと推定できる。c増大期でありながら、現在では痕跡が弱くしか残っていない時期として、日本では大正デモクラシー期他があるし、韓国では、朴、全政権初頭の「上からの団体革命」期がある。 4) 以上から、日本・韓国両国ともにおいて利益団体・市民社会の団体の量的変動と政治体制の質的変動の間には、ある種の相関関係が明確に観察できる。
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