本研究は経済発展における人的資本と輸入技術の役割に関して東・東南アジアの数カ国について実証的に分析し、国際比較を行ったものである。分析のフレームワークとしてはBenhabib and Spiegel(1994)のモデルに輸入技術の効果を導入した拡張モデルを構築し、まず、日本と韓国について実証分析を行った。この分析では、両国の高度成長が新しいモデルによって非常によく説明できること、また、韓国の場合、輸入機械や技術輸入など先進国からの外部経済効果が強く、成長格差に基づく追い上げ効果が小さいのに反し、日本の場合は輸入技術の効果も追い上げ効果もともに成長の重要な要因であることが見いだされた。さらにこのモデルをマレーシアとタイに適用した実証分析では、マレーシアの場合、人的資本と技術伝播の効果は成長に対して有意であるのに対し、タイの場合は輸出成長の効果が支配的で、成長は人的資本や技術流入の効果では説明できないことが判明した。
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