研究課題/領域番号 |
08630081
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
経済史
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研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
小島 健 立正大学, 経済学部, 助教授 (00211897)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1997年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1996年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | シューマン・プラン / ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体 / ECSC / ベルギー経済 / ベルギー石炭業 / 欧州統合 |
研究概要 |
本研究は、1950年のフランスによるヨーロッパ石炭鉄網共同体(ECSC)設立計画の発表から1957年のEECを設立するローマ条約の締結までの欧州統合が進行する中で小国ではあるが高度に発展した工業国家であるベルギーが欧州統合にどのような反応を示し、欧州統合において如何なる役割を担ったかについて明らかにすることを目的とする。そこで本研究は、ベルギー経済の基幹産業でありまたECSCの対象産業であった石炭業に注目することで、上記の目的に接近しようとした。 第二次大戦後、ベルギーでは政府の経済への介入、福祉国家化が進行し、経済復興の鍵ともいえる石炭業は政府による強力な統制のもとにあった。石炭業はECSC設立計画が発表された1950年頃になると高価格、低生産性に悩まされており、政府は、ECSC設立交渉で石炭産業に対する保護措置を求めた。こうして、石炭業は1958年までの過渡期間にECSCと政府からの補助金を受けることになった。 しかし、保護措置は石炭業の没落を引き延ばしたにすぎず、1958年の石炭危機によりベルギー石炭業の没落は決定的になった。一方、国内の他の多くの産業部門は、ECSCにより安価で良質の外国炭が輸入され産業発展を遂げる条件が生まれることを歓迎し、さらに、石炭・鉄網産業にとどまらない全般的経済統合を期待した。 ベルギーはECSCによって石炭業問題を解決しようとするとともに、経済のヨーロッパ化を押し進めた。こうした1950年代の動きは、その後ベルギーが積極的にヨーロッパ経済統合に取り組む素地を形成することになったと思われる。ただし、これらの点について研究の現段階では未だ十分な検討がなされたとは言い難く、今後も一層研究を発展させたいと考えている。
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