研究概要 |
人口高齢化の進行は,ほとんど全ての先進国に共通である。最も著しい例は,日本である。そこで,人口変化の影響をうまく処理するため調整が必要とされるいくつかの鍵となる分野がある。それらの1つは,公共支出である。年齢構造の変化は,公的プログラムへの需要に影響を与えるが,それは,老人のための公共支出への人口上の圧力が増大するためである。例えば,GDPに占める社会保障コストのシェアは,老人人口の増大にともない,2000年には,16.5%,2010年には,23.6%,2025年には33.8%になると予測されている。同時に,われわれが税や社会保険料として負う負担も増大するだろう。例えば,国民所得に占める税と社会保険料のシェアの合計は,2000年には,40.2%,2010年には,45.2%,2025年には,51.5%になるという予測も示されている。そこには,現行制度が維持されるという仮定がある。しかしながら,政府は,将来においてもその負担を50%以内に抑制すべきだと考えている。これを行なうためには,政府は,年金,医療,社会福祉のコストを効率的に削減しなければならない。そこで政府は,既にいくつかの分野でそれを行なってきている。 このような状況下,老人の実物資産も活用されなければならない。例えば,地域によっては,老人は,仲介者としての地方の公社を通じて金融機関から,あるいは直接,地方の公社から担保付き借入を行なうことができる。この場合,担保物件というのは,老人が今住んでいる土地・住宅である。 また,昨今,わが国では,土地・住宅を売り,外国で一生を終えるため海外へ行く老人もいる。いくつかの理由から,もっとも可能性のある国の1つはフィリピンである。
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