研究概要 |
当初の研究実施計画に基づいて,以下の実績をおさめた。第一に,自動車メーカー,ディーラー,インポーター,業界団体等に対して,総計約210箇所の集中的なインタビュー調査および資料収集をおこなった。メーカーとしてはトヨタ自動車,日産自動車,マツダ,ダイハツ工業,三菱自動車工業,ディーラーとしてはトヨタ,トヨペット,日産,ホンダベルノ,ホンダプリモ等の各チャネルおよび整備会社,インポーターとしては,サターンジャパン,メルセデス・ベンツ・ジャパン,業界団体等としては日本自動車工業会,自動車振興会,トヨタレンタリース東京,東京海上火災,運輸省自動車交通局,東京陸運局,等でインタビュー調査および資料調査をおこなった。第二に,国内調査と並行して,中国に計六度訪問し,中国汽車貿易華北公司等,計約30箇所,韓国にも三度訪問し,現代自動車等,計約25社での調査をおこなった。加えて欧州でも英国に二度訪問し,欧州における自動車流通研究のセンターであるICDP(International Car Distribution Program)から集中的な情報収集をおこなった。この結果,従来積み重ねてきたデータを豊富化することができ,流通系列問題における国際比較をおこなう上での比較の座標軸を豊富化,立体化するための基礎データ収集に成果をおさめた。とくに韓国を調査した結果,メーカー直営営業所の形成過程,存在形態,現在の問題点とメーカーの改善策,今後の変化の方向等について詳細な資料を得た。さらに中国の調査によって,後発国における流通系列形成の歴史的過程とその論理,独立系の政府大手流通企業とメーカー系の流通ネットワークとの閲ぎ合い等の現状がリアルに把握できることとなった。加えて国内調査では,従来の調査ではおこなえていなかったレンタカー市場,自動車保険市場についても調査し,系列販売問題との関連を探る作業を始めた。
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