研究概要 |
本研究による成果は以下の通りである。 1.本研究の目的にあるように,地域統括会社の視点から調査をおこなうために,北米,欧州,アジアの各地域の地域統括会社に直接アンケートを送付した。このアンケート調査の回答を分析した結果,以前よりも地域統括会社の地域ごとの役割が明確になってきていることがわかった。 2.具体的には,北米における地域統括会社は現地法人への助言機構であったり,コスト面で効果のある部分の統括をおこなう組織である。また,欧州における地域統括会社は,本格的な地域統括会社として現地法人の先頭に立って地域のマネジメントをおこなう組織である。そして,アジアにおける地域統括会社は,地域内での事業推進に関する情報を提供したり,人材をトレーニングするなど,各事業部の事業を推進するための地域の拠点となる組織である。 3.また,シンガポールにおける地域統括会社をさらに詳しく分析した結果,アジアにおける地域統括会社は,地域における経営情報を蓄積する知識センターとしての役割が今後強まっていくだろうと予測された。しかしながら,日本本社の影響力が強いために一つの地域として独立した地域統括本社になりきれない組織だともいえる。 4.本研究の最終的な目的は,地域統括マネジメントのモデルを構築することであったが,本研究期間内ではそこまで達成することができなかった。しかしながら,今後,本研究で得られたデータなどをもとにモデルの構築をおこなっていく予定である。
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