研究概要 |
情報システムの分野においてワークフローは,「業務プロセスの自動化と管理」と定義されている.これは,業務プロセスを,ある目標を達成するために,意思決定や単純な情報処理など様々な行為やアクティビティーが,互いに結合しているシステムとして見るという立場であり,その結合にしたがって,的確に情報やデータを流すことによって,業務プロセスを円滑に進めるということがワークフローの狙いとなっている. ワークフローの分析に関しては,滞留やボトルネックの分析,可達性の分析など様々な分析があるが,その多くは定量的な分析であり,シミュレーションが基本的なツールである.シミュレーションはもちろんすべての場合を覆いつくすことはできないので,したがって,それによって設計されたワークフローの正当性が保証されるわけではない.そこで必要となるのが,形式的なアプローチである. 本研究では,設計されたプロセス定義が当初の意図(仕様)にあっているかとか,あるいはそもそもワークがどのように流れるかといった意味的な問題に対する分析を行うために,形式的なアプローチを導入し,プロセス定義において個々のアクティビティーではなく,その間の関係に焦点を当て,与えられたルーティング間の同値性について考察した. ワークフローの概念の紹介については2本の報文を発表し,システム表現論の基礎理論と,意思決定支援に関する基礎研究について各々1本の論文を発表した.論理的アプローチについての報告は今春学会する予定である.
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