研究概要 |
職能横断的組織とは,水平的インターアクションのある組織のことを指す。cross-functional teamが典型例であると思われるが,本研究では,より広い意味でこのことばを使用している。 1. 有機的組織の中で,特に,マイクロ・プロフィット・センターやカンパニー制をとりあげた。これらは,下位に大幅な権限委譲をして組織を活性化すると共に,独立採算で責任を明確にできる仕組みをもっている。「自律性」と「責任」を付与するエンパワメントの仕組みについて明らかにした。カンパニー制といってもかなり多様性をもっているので,今後,類型化を行いたいと考えている。 2. 職能横断的組織の一例として,ホワイトカラーのチーム組織研究開発組織を研究対象とした。対象として製薬業を選び,1997年から調査してきた製薬業に携わっている6社における研究開発マネジメントについてまとめた。ヒアリングによれば,企業によりかなり大きな相違のあることが明らかになった。本研究と関連するのは,第1に,研究者の活性化の手段に関する部分である。第2に,研究テーマの選択・決定が,戦略的計画との関連でどのような会議を通じて,どのように調整され,R&Dが実行されて行くのかという点である。これらの他にも,スクリーニング・プロセス,製薬業の海外展開,製薬業界をめぐる厳しい状況などが明らかとなった。 3. 海外進出に伴い,グローバルレベルでの親会社による関連会社のコントロールと研究開発費の負担による海外の余剰資金の回収が重要な課題となる。IRSとOECDが示している指針のコスト・シェアリング契約について検討した。
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