研究概要 |
1.H.L.Claasen and R.W.Goldbachは有限環上のcyclotomic schemesの研究において,admissible ringという有限環を定義し,"left admissible ringはright admissible ringか?"という疑問を提起した.それを自己移入有限環の問題として,捉えることにより,それらを解決した.つまり,left admissible ringは有限Frobenius ringであり,従って,right admissible ringであることを示した. 2.H.BassはRがleft perfect ringであれば,Rは直交べき等元の無限集合を含まず,ゼロでない左加群が極大部分加群を持つことを示し,逆に,この性質がleft perfect ringを特徴付けないかどうかを問うた.その後,この問題には反例があげられたが,最近,W.Xue,H.-P.Yuなどにより,Bass' conjectureが成立するような可換環のクラスを含む,より大きな環のクラスが見つけられた.そこで,さらに一般に,任意の原始剰余環がアルチン的である環のクラスに対してBass' conjectureが成立するかどうかを研究し,素根基による剰余環が有界冪零元指数を持つ場合には肯定的であることがわかった.また,任意のゼロでない左加群が極大部分加群を持つ環のいくつかの一般的性質を明らかにした. 3.Rは有限環で,Jacobson根基J(R)が可換であるものとする.Rがdefinable principal congruencesをもつある環のvarietyに含まれるとき,Rの構造を明らかにした. 4.q元体上の2次元射影空間PG(2,29)内のk点集合において,どの3点も同一直線上に無いとき,この集合をkアークと呼ぶ.二次曲線に含まれない最大長のアークを,q=29の場合に自己同型群がPSL(2,7)となるように構成した.これは,クラインの4次曲線の変曲点よりなる24点集合に他ならない.
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