研究概要 |
研究の目標は,レベル(2,4)構造を持つ主偏極アーベル曲面のモジュライ空間を基礎として整数論を展開することである.研究は,二つの部分に分けられる.一つは,上記モジュライ空間をより深く理解することであり,他の一つは,アーベル曲面の等分点の数論である. レベル(2,4)構造を持つ種数2の超楕円曲線のモジュライ空間と,アーベル曲面のそれとの関係をしらべ,これらの空間が,自然に,SO_3(C)の部分集合と見なされることを示した.この際,特殊直交行列は,10個のテ-タ定数の商で表される. 次にアーベル曲面の等分点の体についてその成果を述べる. γを2次のジーゲル上半空間の点とし,γに付随するアーベル曲面,クンマー曲面を,A(γ),K(γ)で表す.A(γ)は種数2の超楕円曲線のヤコビ多様体となっていると仮定する.3個のリーマンテ-タ定数の商をj_a(γ)=θ_a0(2γ)/θ_<00>(2γ)(a∈1/2Z^2/Z^2)とすると,クンマー曲面K(γ)はF(γ)=Q(j_a(γ))上定義される.K(γ)の"P等分点"の座標の比を添加して得られる体をF_P(γ)=Q(θ_<a0>(2γ|2(γ,1)h)/θ_<00>(2γ|2(γ,1)h);)h∈1/PZ^4/Z^4)とすると,次を得る. 定理Pを奇数の正整数とする.そのとき 1.F_P(γ)はFのガロア拡大である. 2.γが一般の点のとき,ガロア拡大F_P(γ)/F(γ)のガロア群は,次の群に同型である: 【numerical formula】
|