研究概要 |
本年度の当該補助金による研究成果は2つに大別される.1つは特異曲線それ自身についての結果であり,他の1つは代数幾何的視点による符号の分類に関する結果である.以下それぞれについて簡潔に概要を記す. 特異曲線 非特異曲線の場合には射影直線の2次の被覆となる.いわゆる超楕円曲線は特別な性質を持ち,しかも種々の意味で扱い易いものであった.特異点を持つ場合でもこのような状況は,かなり具体的記述を可能にするものであろうという信念から研究は出発した.しかし,特異点を許容するため,非特異の場合には自明な場合でしか起こらなかった2次の被覆を与える射が純非分離となることがどの種数でも起きる(ただし,標数は2の場合に限る).従って,その射が分離の場合と非分離の場合とに分けて考察する必要がある.前者の場合には具体的"局所方程式"の形で,後者については局所環を与える形で記述した.さらにその記述を用いてWeierstrass点,weightを求めた. 符号の分類 本研究は慶尚国立大のS.J.Kim.S.Y.Yoon両氏との協同研究である.われわれは,線形符号の類に最小距離よりは細かく,重み多項式よりはあらい不変量を導入し,それを指標として符号の類を分類することに着手した.Cを[n,k,d]_q-符号とする.Sp^*CをCの0ではない符号語のHamming weightのとりうる値すべての集合とする.このとき, 1.Cはnondegenerateかつk【greater than or equal】2でSp^*C={d}ならば,それはsimplex codeの繰り返し 2.k【greater than or equal】4のとき,Sp^*C={d,n}ならばfirst order Reed-Muller codeの繰り返し これらの事実は代数幾何的手法により,非常に概念的に示された.
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