研究概要 |
研究テーマは,リー群の作用によって定義される余次元1の葉層構造を持つ多様体の決定問題であるが,具体的には次の2つの問題a),b)について,限定した仮定のもとでの考察をおこなった. a)リー群がべき零リー群で,コンパクトな葉を持たないときの閉多様体の決定: この問題で,多様体の次元が4次元以下のときには代表者達によってすでに解決されており,当面の目標は5次元多様体についてである.そのため,代表者達の試みた方法は,3次元格子の空間上のunipotent flowの極小集合の研究に帰着させる方法である.具体的には,この場合のflowの軌道の追跡を,パーソナルコンピュータを用いて行なった.しかし,かなり具体的に限定された1つ1つの例における場合においても,かなりの時間がかかるだけで満足なデーターが得られなかった.つまり,パソコンによる実験に無理があり計画を断念した.しかし,このflowに関しての新たな結果が知られており,この結果の吟味において,我々の目指す方向での解決の可能性が見えてくる. b)リー群が可解リー群のとき,境界を持つ多様体の決定: この問題では,多様体を4次元とし,3次元のunimodular可解リー群の場合を研究した.これに関しては次の結果を得ることができた. “境界のホロノミー群の階数は,0,1,3のどれかである, (1)階数が0,1の場合,多様体は決定できる. (2)階数が3の場合は,元の葉層構造に横断的で,リー群の作用で不変な余次元1の葉層構造が存在する." (2)の場合,決定できるかどうかまでの証明はまだできていないが,その横断的で不変な葉層構造を用いることによって証明できるという感触を得ている.
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