研究概要 |
ユークリッド空間R^n上で定義されるBMOやそれに関連した函数空間の理論は多くの人により研究されてきた。これらの理論をユークリッド空間R^nから測度空間Xに拡張し,BMOやそれに関連した函数空間を統一的に扱うことのできるBMO_<φ,p>(X)についての理論を構成するという目的の中で,Xとして1977年にR.R.CoifmanとG.Weissが導入したhomogeneous型空間を採用することにより,次の結果が得られた。 1.各点的マルチプライヤーの理論:A,Bを函数空間,gを函数とする。任意のAの要素fに対して各点ごとの積fgがBの要素となるときgをAからBへの各点的マルチプライヤーと呼ぶ。この研究により,BMO_<φ,p>(X)から同じBMO_<φ,p>(X)への各点的マルチプライヤーを決定するための基礎的な条件に加え、BMO_<φ1,p1>(X)からBMO_<φ2,p2>(X)への各点的マルチプライヤーを決定するための条件が得られた。これによりユークリッド空間R^n上でも知られていなかった各点的マルチプライヤーの理論を構成した。 2.BMO_<φ,p>(X)函数の連続性とリプシッツ空間,モリ-空間との関係:ユークリッド空間R^n上では,BMO_<φ,p>とリプシッツ空間と,または,BMO_<φ,p>とモリ-空間と,が一致するための良く知られた十分条件がある。この研究により,この関係がX上に一般化でき,しかも各点的マルチプライヤーを決定するための基礎的な条件を用いることで,必要十分条件も得られた。さらに,もとのhomogeneous型空間上のBMO_<φ,p>とそれを正規化したhomogeneous型空間上のBMO_<φ,p>との関係を得て,1979年のR.A.MaciasとC.Segoviaの結果を拡張した。また,homogeneous型空間X上でBMO_<φ,p>函数が連続であるための必要十分条件を得た。
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