研究概要 |
1.Diracのデルタ関数δ(x,y)および関数f(x)=1/xの有限部分(Cauchyの主値)Q(x,y)をそれぞれ次のように定義する。δ(x,y)=y/(π(x^2+y^2)),Q(x,y)=x/((x^2+y^2))ここでyは正の無限小超実数である。直観的にはyは小さい正の実数と考えてよい。これらの関数は見方を変えればδ(x,y)はPoisson核,Q(x,y)は共役Poisson核である。この着想にはアルゼンチン科学アカデミーのR.Scarfiello氏も到達している。今後同氏との共同研究を積極的に進めたいと考えている。定義からただちに次の結果が得られる。 (1)d/(dx)Q(x,y)=-Q^2(x,y)+π^2δ^2(x,y),(2)(d^2)/(dx^2)=6δ(x,y)Q^2(x,y)-2π^2δ^2(x,y),(3)(d^2)/(dx^2)Q(x,y)=2Q^3(x,y)-6π^2Q(x,y)δ^2(x,y) なおδ^2(x,y)は超関数(hyperfunction)として,従ってSchwartz超関数(distribution)としても意味をもたないことが知られている。 2.Fourier変換の拡張である擬Fourier変換(pseudofourier transform)を次の(1),(2)のように定義する。記号はPFを用いる。 (1)E_1(x,y)=e×p(-y|x|)とおいて,PF(f,E_1)(x,y)=∫^∞_∞f(t,y)E_1(t,y)e^<-ixt>dt=F(fE_1)(x,y)。特にf(x,y)≡f(x)の場合は超関数の意味でのFourier変換と同様に考えられる。 我々はこの擬Fourier変換を用いて、Schwartz超関数の理論で知られているいくつかの公式を直接実解析的に示すことができた。さらに形式的な公式F(1*1)=F(1)F(1)=4π^2δ^2(x,y)を次の形で正当化できることを示した。F(E_1*,E_1)=F(E_1)F(E_1)=4π^2δ^2(x,y) (2)E_2(x,y)=e×p(-yx^2)とおいて、PF(f,E_2)(x,y)=F(fE_2)(x,y),この定義より関数f(x)=e^xの擬Fourier変換を次のように求められた。PF(f,E_2)(x,y)=(π/y)^<1/2>e×p(-(x^2)/(4y)-(ix)/(2y)+1/(4y)) 以上の成果の他にG-関数論,ホモトピー論,表現論に関していくつかの成果を得ることができた。
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