研究概要 |
単位円周上の有界可測関数α,βを表徴としてもち正値Lebesgue可積分関数Wを荷重とする荷重付き2乗可積分空間L^2(W)に稠密な定義域をもつ1次元線形特異積分作用素の1つとして我々の研究対象である作用素S_<α,β>,wがある。S_<α,β>,wの可逆性がさかんに研究されるようになったのは、Riemann-Hilbertの問題からである。S_<α,β>,wの有界性の問題は予測理論と関連してRiesz射影S_<1,o,>,wについてHelson-SzegoやHunt-Muckenhoupt-Wheedenによって解決されてからである。今回の研究で我々は主として2つの問題: (1)S_<α,β>,wの有界性条件を求める問題。 (2)S_<α,β>,wのノルム公式を求める問題。 をCotlar-Sadoskyのlifting定理とHilbert空間における議論を用いて考えた。α,βが定数のとき(2)はGohberg-KrupnikやFeldman-Krupnik-Marcusによって計算された。α,βが定数でない関数のとき(2)はW=1のときでさえまだよく調べられていないが、コンパクト作用素を法とするノルムは関数環の理論を用いてよく調べられている。従って、ノルムの下からの評価はある程度わかっていた。我々はノルムの上からの評価を与えた。更に我々は(2)の解答として次のような3種類を考えた。 (第1公式)αとβが単位円周上の有界可測関数の場合に適用できる公式でS_<α,β>,wのノルムはある実変数の凸関数の不動点になっているというもの。 (第2公式)αβ^^-が単位円板上の有界可測関数の境界値関数の場合に適用できる公式で,それからFeldman-Krupnik-Marcusの公式が直ちに導かれるもの。 (第3公式)αとβが単位円周上の有界可測関数の場合に適用できるもう一つの公式。
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