研究分担者 |
須鎗 弘樹 千葉大学, 工学部, 講師 (70246685)
井上 啓 東京理科大学, 理工学部, 助手 (70307700)
戸川 美郎 東京理科大学, 理工学部, 助教授 (20112899)
宮沢 政清 東京理科大学, 理工学部, 教授 (80110948)
大矢 雅則 東京理科大学, 理工学部, 教授 (90112896)
下井田 宏雄 東京理科大学, 理工学部, 教授 (00112897)
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研究概要 |
本研究は,エントロピー理論から端を発した複雑さと力学の融合した理論である情報力学をベースにして,数理科学を対象とする領域,とりわけ,情報科学とそれに関連ある分野の様々な問題の数理を統一的に解析し展開することが目的である.平成10年度の研究実績は,つぎの通りである.:(1)量子チャネルなどが,どれだけの情報を伝送する能力を持っているかを測る重要な尺度である量子通信路容量を,具体的ないくつかの量子チャネルに対して計算し、情報伝送効率を調べた.(2)量子計算では、エンタングルド状態と呼ばれるいくつかの量子状態を重ね合わせた状態を用いるのが特徴となっている.これを用いると因数分解等を高速で行うアルゴリズムを作ることができる.こうしたエンタングルド状態の分類とその応用について調べた.(3)量子論理ゲートの一つである光学的Fredkin-Toffoliゲートは,論理的に可逆な構造であり,全ての論理ゲートの機能を実現することができる.この回路の状態変化の様子を量子チャネルとして新たに記述し,その回路の持つ情報伝送の効率を厳密に調べる研究を行った.(4)量子状態間の相関を表すEPR(Einstein-Podolsky-Rosen)ペアなどのエンタングルド状態を用いて,観測せずに量子状態を完全に送るという量子テレポーテーション過程の研究が最近Bennett達によって論じられている.この量子テレポーテーション過程を本来の量子情報理論の立場から量子チャネルを用いて定式化し量子キャパシティーを計算した。(4)Log-linear型の力学系の定性的性質を,特に,境界付近での振る舞いに着目し,非周期的に境界に収束する軌道を数値実験として求めた.(5)待ち行列モデルによるネットワークシステムの性能評価と最適化ための基礎的な理論を研究し,集団で,同時に複数のノードで客が移動するモデルで,客の経路選択がネットワーク状態全体に依存して動的に行われるネットワークシステムについて,モデル化を行うと共に,そのようなネットワークの状態の定常分布が解析的に得られるような場合を特徴づける条件を,ネットワークの流れに注目したトラヒック方程式を使って得た.
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