研究概要 |
1.伊東は金沢大学の田村助教授とともにO(N)古典スピン系の繰り込み群による分析をおこなった.第一段階としてこの系がrandom walks(乱歩)で表現できることから乱歩のcoarse grainingを応用し臨界温度に対し満足の出来る評価をえた.これはさらにself-avoiding walkにまで改良さ,3次元以上では最良の結果である.第二段階としてモデルから得られる関数行列式det^<-N/2>(1+iGΨ/√N)(G=(-Δ+m^2)^<-1>はGreen関数)のΨに関する可積分性を論じた.これによって2次元に於いて,O(N)spinモデルの臨界逆温度β_c=T^<-1>_cに対して,B_c>NlogNの形のdeviationの有ることが証明された.(3次元以上ではβ_c〜Nが知られている).これにはいわゆるcluster expansionが使われた.2次元ではβ_c=∞が予想されているが現在の方法はこの問題にも有効であると考えられ,現在この方向で研究している. 2.寺本は円柱の回りの非圧縮性粘性流体の流れを円柱座標を用いて分析,初期値が定常解に十分近ければ時間的大域解が有ることを証明した. 3.さらに寺本-伊東は乱流の性質,特にエネルギーの散逸に関するKolmogorov則とそれからのづれをNavier-Stokes方程式から繰り込み群に基づいて導出しようとした.しかしこの方面では期間中にめぼしい結果は出なかった. 4.池部は島田(摂南大学)とともに球面上にδ関数的potential V(x)=μf(x)δ(x^2-α^2)が有るときのSchroedinger作用素はμ→±∞でresolvent収束することを証明した.これは原子のα崩壊に関係している.
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