研究課題/領域番号 |
08640300
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
数学一般(含確率論・統計数学)
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
三澤 哲也 名古屋市立大学, 経済学部, 助教授 (10190620)
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研究分担者 |
橋本 佳明 名古屋市立大学, 自然科学研究教育センター, 教授 (50106259)
宮原 孝夫 名古屋市立大学, 経済学部, 教授 (20106256)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1996年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 非線形確率系 / 対称性 / 保存量 / 簡約化 / 数理ファイナンス / マルチンゲ-ル測度 / 相対エントロピー / ウェーブレット解析 |
研究概要 |
本研究では、不確定要因を内包する系の数学モデルとして様々な分野で扱われる、確率微分方程式で記述される力学系、すなわち「確率力学系」における対称性理論を構築すると共に、その非線形確率系解析への応用を試みた。また確率系や非線形系が関連する話題として数理ファイナンス理論や転移点をもつ特異摂動問題を取り上げ、その各分野における確率論的対称性理論の展開の可能性を探った。具体的な成果は以下の通りである。 (1)確率力学系が許容する対称性作用素の概念を定式化し、作用素の係数関数が満たす微分方程式とその随伴方程式を用いて系の保存量が構成できることを示した。また、具体的な非線形確率系に適用することで、その結果が系の力学構造の解明に役立つことを確認した。 (2)対称性概念の重要な応用である、系の「次元(自由度)低減化」法を確率系にも拡張し、「確率系の簡約化法」を定式化した。さらに具体的な非線形確率系に適用し、その方法が系の構造や解の発見に有効に働くことを検証した。 (3)Kaldor型景気循環モデルを題材に、系の非線形性と確率的外乱(ノイズ)との相互作用に関する数値実験による考察を行った。その結果、時としてそれが系に周期運動という対称性をもった秩序運動をもたらしうることを見いだした。 (4)非線形系を含むより一般の確率力学系が扱われる、オプション等の制約条件付き債券の価格付け問題においては、意味のあるマルチンゲ-ル測度の存在と定め方が重要となる。本研究ではそれを見いだす方法として相対エントロピーを最小にするマルチンゲ-ル測度を考察し、その存在定理や得られる測度の型についていくつかの結果を得た。 (5)確率系の時系列分析でもよく扱われるウェーブレット解析を用いて、流体力学や量子力学で現れる、転移点を持つ特異摂動問題の数値解法を開発し、その有効性も検証した。
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