研究概要 |
ゲージオン形式はゲージ場の量子論において,量子論レベルでのゲージ共変性を実現するものである.これまで電磁場とヤン-ミルズ場に対して知られていた.本研究はこれを他のゲージ場に適用すること,及び,量子論のゲージ構造を明らかにすることを目指したものであり,以下の成果を得ることができた. 1. ゲージオン場(量子論的ゲージ変換の自由度を担う場)に対してもBRST対称性を導入した理論において,ゲージ不変な物理的ヒルベルト空間を構築することができた.さらに,複数のBRST電荷がある場合のBRST代数の表現論を調べることにより,、このヒルベルト空間は通常のゲージ場の量子論のヒルベルト空間と同一視できることも示せた.これにより,種々の物理量のゲージ不変性が自明となった. 2. 超重力現れる反対称テンソルゲージ場に対するゲージオン場を導入できた.このような場の量子論を扱う場合に注意すべきことは,FPゴースト場やゲージオン場もそれ自身がゲージ場となることである.二階反対称テンソル場のゲージオン部分を抽出すると,質量ゼ口ののFroissart模型のベクトル場版が現れる.この理論のBRST量子化を試み,ゲージオンのゴースト,ゲージオンに対するゲージオンの性質を明らかにしつつある. 3. 超重力に現れるグラヴィティーノ場はスピン3/2Rarita-Schwingerゲージ場とみなせる.このゲージ場に対するBRST対称なゲージオン形式を構築できた.これは,電磁場におけるタイプIとII,及び,拡張されたタイプIの理論形式に相当するものである.また,この理論に対しても,ゲージ不変な物理的ヒルベルト空間を導入することができた.
|