研究概要 |
「核子のスピン構造と量子異常に関する研究」テーマについて平成8年度から平成10年度の3年間に以下のような研究成果が得られた。 1. 核子のスピン構造に関しては,「スピンクライシス」の問題に関連して構成子模型の立場からオクテットバリオンの磁気モーメントの解析よりスピン構造を解明した。ストレンジネスが増えるにつれスピンクライシスはより大きくなることが指摘された。今後の実験的解析が待たれる。核子内のヘビークオークおよびグルーオンとの存在との関連で,チャームクオークの発生機構が研究された。構造関数g_2の分析およびツイスト効果に関しては,現在進行中である。 2. 量子異常(アノマリー)に関連して,二次元超重力でのアノマリー構造がリウヴィル理論の解析から分析された。更に,研究対象をリウヴィル理論を含むより一般的な戸田場理論(二次元)に拡張し,その厳密な演算子解を求め,戸田場の正準量子化に成功した。 3. カイラル対称性の破れやU(1)問題との関連で,量子異常の構造を解明するためにカイラルフェルミオンを含む理論が詳しく分析された。特に,カイラルフェルミオンを含む理論のゲージ対称性を保つ正則化法が研究された。更に,超対称なカイラル理論の構造に一般化され、manifestly supersymmetoric gauge covariant regularization of supersymmetric chiral gauge theoryが定式化さた。また,renomalonを含む総和法に関してトンネル効果との関連が研究された。
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