研究概要 |
U(1)ゲージ理論における興味ある結果が得られた経験をもとにθ項を持つ2次元U(2)格子ゲージ理論のくりこみ群による研究を行った. U(2)を調べる理由は,非可換部分がどのような役割を果たすかを見たかったからである.そのようなゲージ群のなかでU(2)はもっとも簡単であるので手始めにこの群を採用した.作用は2次元では非可換なreal actionと可換なimaginary actionで与えられる.4次元と異なり非可換なimaginary actionをとることはできない.なぜならトポロジカル項2次元ではTrεμνFμνでありSU(2)(非可換)部分はゼロとなる. bare actionとして,1)real action;βι1 ι2=β11(ι1=2q,ι2=2I)≠0,(qはU(1)荷電,IはSU(2)既約表現のアイソスピン),2)imaginary action;standard θ action((θ/2π)TrεμνFμνとする.これは,U(1)部分からつくられる.)ととる. くりこみ群変換後imaginary actionにも非可換部分が現れる.しかし多数回の変換後imaginary actionの非可換部分はゼロに近づく. 相転移はθ=πのときのみ,しかもSU(2)についてtrivialな表現((ι1,ι2)=(2,0),すなわちq=1,I=0の表現等)に現れるが,SU(2)についてnon trivialな表現(ι1,ι2)=(1,1),すなわちq=1/2,I=1/2の表現)には現れない.これはSU(2)のとじこめの影響でθ=πの非とじこめ相は現れることができないことによると考えられる.real actionはくりこみ群変換によって,heat kernel型に近づく. この研究と平行して1)オブリーク閉じこめ,デュアリティーとの関係で興味が持たれるθ項を持つ4次元ZN系を実空間繰り込み群の方法で調べる研究を進めつつあり(井町,劉,米山),2)CP1での分析をより大きなNの場合に広げるためCP2の数値解析を進めている(井町,叶,米山).
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