研究概要 |
下記の研究を行い、これらを「ミュオン触媒核融合」に関する国際シンポジウム(スイス、1998年7月)と「超強度ミュオンビームと21世紀のミュオン科学」ワークショップ(KEK筑波、1999年、3月)において発表した。 1) ミューオン触媒核融合におけるミュオン付着率の新しい計算を実行した。 dtμ分子内核融合dtμ→α+n+μ,(αμ)+nにおけるαμ初期付着率(ωs)について、従来の計算における3つの近似(sudden近似をとること、dtμチャネルとαnμチャネルとのexplicitな結合を切ること、αn間の角運動量l=2をl=0と近似すること)を止めたsophisticatedな3体計算を行った。しかし、結果は従来の初期付着率をやや増加させた(核力入りで、ωs=0.92%から0.94%へ)。 2) 理研-ラザフォード研の共同になる超高強度ミューオンビームを用いる将来の実験で、ダブルミューオン分子が初めて発見される可能性がある。これに先駆けて、非断熱的4体計算により、ダブルミューオン水素分子のエネルギーレベルを予言した。xyμμ,x,y=p,d,tのすべての分子について計算を行った。 3) ttμミューオン分子イオンのエネルギーレベルと分子内核融合率の計算をおこなった。また、t^3Heμ分子イオンのエネルギーレベルと崩壊幅の計算を行った。 4) ミュオン分子を含む任意3体系の束縛状態を計算する汎用プログラムを作成し、九大計算センターのライブラリプログラムとして登録した。また、ミュオン触媒核融合に関するレビュー論文を書き、レビュー誌に出版した。
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