研究概要 |
本研究では,超対称性理論によって予言される様々な新粒子の相互作用を自動計算するシステムの開発と,それを使った超対称性理論の現象論の研究を行った.高エネルギー加速器研究機構の南建屋グループが開発したファインマン振幅の自動計算システムGRACEに,超対称性理論のうち最も基本的な最小超対称標準モデルの相互作用を組み込み,最低次のオーダーの超対称性粒子生成反応の自動計算を可能にした.その際,フェルミオン数を保存しない相互作用頂点をGRACEで自動的に扱うための理論的問題を解決した. ついで,on-shell renormalization schemeに基づいて,このモデルの繰り込み理論を確立した.紫外部の発散の正規化には,dimentional reductionと呼ばれる新しい技術を使った.カウンター項相互作用をGRACEに組み込んで,超対称性理論に基づいて各反応を,一ループのオーダーの輻射補正を含めて自動的に評価する事ができるようになった. この新しいGRACEを使って,H+→tbの崩壊幅,電子陽電子反応によるWボゾン対生成反応における超対称性粒子の効果,荷電ヒッグス粒子対生成における輻射補正の大きさ等を調べている. 自動計算システムGRACEのチェックが終わり,システムが安定すれば,超対称性理論で予言されているさまざまな反応が自動的に計算できるようになる.
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