研究概要 |
ハイパー核の研究や核子寿命の測定実験などと密接な関係を有する、軽い核の深部空孔状態の分解過程に関する理論及び実験的研究を進めた。得られた研究成果は以下のとおりである。 ・s-hole状態に対するSU(3)模型と選択則の発見 s-hole状態を生成する(p,2p)や(e,e'p)反応機構に着目して、s-hole状態に対するSU(3)模型を提唱し、その分解過程の分析を行った。この結果、軽い核の状態の分解過程は主に戸口段階で分解し、さらに2体分解過程においてα及びαより重い粒子への分解が抑制されるという選択則を理論的に発見した。これは戸口s-hole状態がもつSU(3)空間対称性による。 ・大阪大学核物理学研究センター(RCNP)での^<12>C,^<16>O(p,2p)実験 軽い核のs-hole状態の分解を実験的に調べるため、阪大RCNPでE81及びE110実験が2回行われた。この結果、^<11>B(s-hole)及び^<15>N(s-hole)の分解は統計崩壊だけでは説明できなく、空間SU(3) 対称性による選択則のため、α粒子分解は大きなQ値にも関わらず抑制されていることが発見された。 ・1【planck's constant】Ω殻模型での分析 上記の実験で新たに発見された^<11>B(s-hole)状態のbump構造を調べるため、1【planck's constant】Ω殻模型の波動関数を用いて、^<12>C(p,2p)反応の励起関数の分析を行った。この結果、bump構造は^<12>C基底状態の波動関数のもつ対称性を反映して、s-hole成分であるSU(3)[f](λμ)=[443](04)成分が主に3つに分離するため生じることを明らかにした。
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