研究概要 |
高圧下での電流磁気効果を測定するため,小型で高圧の発生できるダイヤモンドアンビル型セル(最大等方圧3GPa,異方圧IGPa)を開発し,これを用いて擬二次元伝導体Mo_4O_<11>,層状半導体Bi_<2-X>Sn_XTe_3,層間化合物M_XTiS_2(M=3d金属)等の低次元伝導体の結晶構造,抵抗率,ホール効果等の測定を行った。 (1)電流磁気効果測定用ダイヤモンドアンビル型セルの開発:電流磁気効果測定用に最大3GPaの等方圧ダイヤモンドアンビル型セルを設計・製作した。ステンレスホルダー部に圧力素子を取付け,精密ボルトメータでモニターしながら精密に加圧する。さらに,一軸性異方圧用の圧力セルとして用いる為に,試料の厚さの1/3程度の細線を予めセットし,加圧の際の試料やダイヤモンドの破損を防ぎ,試料に最大1GPaの一軸性の異方圧を印加することができた。また,ホール効果,磁気抵抗測定用の現有の装置をパソコンで自動計測できるように整備した。 (2)等方圧及び一軸性異方圧下の構造解析及び輸送係数:上記で開発した圧力セルを用いて測定した結果,Mo_4O_<11>,M_XTiS_2など低次元伝導体の室温での格子定数の等方圧による変化,Mo_4O_<11>におけるフェルミ面や相転移温度の圧力変化,更に,一軸性異方圧を加えるとTiS_2では面内の原子間距離は増大するが層間距離は減少し,縮体半導体から半金属へと変化すること等を見い出した。 今後,以上の結果を総合的に考察し,成果を学術雑誌に発表すると共に,色々な低次元伝導体の構造解析及び輸送係数の測定を行う予定である。また,0.4mm程度の小さな試料への六端子付けは,金の蒸着では試料との接触を再現性良くとることは難しく,近年の微細加工技術等の利用を検討する必要がある。
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