研究課題/領域番号 |
08640435
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
天谷 健一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70261279)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1996年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | UPt_3 / CeRu_2 / UNi_2Al_3 / 常磁性効果 / FFLO状態 / ピーク効果 |
研究概要 |
1.昨年度に引き続き、高純度UPt_3単結晶の極低温静磁化測定を行い、その磁気特性を調べた。UPt_3の(H-T)相図で見られるように、H⊥cとH//cにおける上部臨界磁場H_<c2>の大きさが高温と低温で逆転していることから、H//cにおいてスピン磁化が超伝導を抑制していること(常磁性効果)が示唆される。混合状態における常磁性応答を詳細に調べるために、熱平衡磁化M_<cq>を調べた。その結果、常磁性磁化率の小さいH//cで、わずかな常磁性効果がM_<cq>に観測されたが、H⊥cでは常磁性効果は全く観測されなかった。一般に、偶パリティーペアリングでは、スピン常磁性の寄与が存在する場合、常磁性磁化率が大きい方向ほど、常磁性効果が顕著になるはずであるから、UPt_3の常磁性効果は宮偶パリティーペアリングでは説明できない。これはUPt_3において奇パリティーペアリングが実現している可能性を示唆する。また、(H-T)相図およびк_2(ギンツブルグ‐ランダウパラメータ)の温度依存性から、常磁性効果によるスピンの減少分は4%程度であることがわかった。以上の結果をPhys.Rev.Lett.に投稿した。 2.高純度CeRu_2単結晶の極低温静磁化測定を行った。CeRu_2は、H_<c2>近傍でヒステリシス磁化のピークが観測されており、混合状態からフルデ-フェレルーラーキン-オブチニコフ状態への一次相転移の可能性が指摘されている物質である。ピーク近傍の磁化を詳細に測定することにより、一次相転移が起きていないことがわかった。CeRu_2のピーク効果はUPt_3と同様に、通常のシンクロナイゼーション効果の枠内で説明できることがわかった。また、常磁性効果を調べるために、к_2の温度依存性を測定した。к_2は温度減少とともに増大し、常磁性の影響が無視できるほど小さいことがわかった。以上の結果は物理学会年会で報告する予定である。 3.UNi_2Al_3単結晶の極低温静磁化測定を行い、60mKまでの(H-T)相図を作成した。単結晶全体が完全には超伝導に転移していなかったが、以下のような知見を得た。(H-T)相図から、UNi_2Al_3の超伝導状態においては低温までほとんど異方性がないこと、また、к_2が温度減少とともに減少することがわかった。後者および(H-T)相図から、常磁性効果が示唆され、UNi_2Al_3は偶パリティーペアリングであると考えられる。以上の結果は物理学会年会で報告する予定である。
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