研究概要 |
有限格子法を用いて様々なスピン系について様々なタイプのパラメータに関する展開の高次項を計算した.従来のダイアグラムによる展開法に比べて,展開の項数を約2倍に伸ばすことができた. 具体的には,2次元q-state Potts模型のうち1次相転移を示すq≧5の系のうちq=5-50の全てについてfree energy, internal enetyspecific heat, magnetization, susceptibilityの低温展開を,低温展開のパラメータの41次まで計算した。また,有限格子法を同じ系のlarge-q展開に適用して,6次までのエネルギー・キュムラントを1/√<q>について23次まで求めた.得られた展開級数を解析した結果,特にlarge-q展開は,臨界点での厳密解が知られているfree energy, latent heat, についてはその厳密解と極めて高い精度で一致する結果を与え,また,厳密解が知られていないspecific heatについては,相関距離が数1000となりモンテカルロ・シミュレーション等他の方法では有意な結果が得られていないq=5の場合でも数%の精度で収斂する結果を与える. また,3次元Ising模型の相境界,およびそれを簡単化した模型である2次元Solid-On-Solid(SOS)模型のうちAbsolute value SOS模型およびDiscrete Gaussian模型(各々,正方格子および3角格子上で)のinterface widthに関する3種類の量の低温展開をそれぞれ展開パラメータの17次,23次,22次,24次,22次まで計算した。くり込み群の議論から予測されている各量の臨界指数を仮定して,得られた級数を解析し,各模型のroughening transition pointの値を得た.その値は前3者についてはモンテカルロくりこみ群の結果と高精度の一致を示しており,後2者については新しい予言になっている.
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