研究概要 |
長野市松代地域の湧水と地下ガスについて調査を行った 1.湧水調査 1965年に始まる松代群発地震の際,大量の地下水が噴出した.現在もなおこの湧水が継続している地点がいくつかある.現在,手に入りうるすべての湧水の化学分析と,過去に報告されている化学分析値とをまとめて,次のような結果を得た.深部源水を特徴づけるのは高濃度のNaとClであり,源水のイオン濃度は,それぞれ250〜300meq/1,300〜350meq/1と推定される.松代地域の湧水の化学成分は,この深部源水が浅層水とさまざまな割合で混じることにより説明できることを明らかにした. 2.地下ガス調査 (1)土壌ガス CO_2濃度が異常に高い.地殻変動のデータと比較すると,東西圧縮の時濃度が高いことが明らかにされた.これは,この地域に東西走向の破砕帯が発達しており,それが東西圧縮力で開口しガスを通しやすくするためであると考えられる. (2)遊離ガス 湧水に含まれる気泡のほとんどはCO_2である.そこに,H_2,Heが混じるのが特徴である.H_2,Heそれぞれの時間変化をみると,松代地域全域が同期して増減することが多い.しかし,H_2とHeの間の時間変化パタンは相関がなく,それぞれ供給源を異にすることが明らかにされた.地殻変動,地震活動度,気象変化とも相関せず,変動の原因は何かについて,今後の研究課題として残された.
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