研究課題/領域番号 |
08640540
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
気象・海洋・陸水学
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
須賀 利雄 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70211977)
|
研究期間 (年度) |
1996 – 1997
|
研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
|
配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1997年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | 黒潮 / 黒潮再循環 / 定線観測 / 水塊 / 輸送量 / 等密度面平均 / 亜熱帯モード水 / 北太平洋中層水 / 集中観測 / 等密度平均 |
研究概要 |
黒潮が輸送する水の質・量は流下方向に変化する。本研究は、この変化、すなわち黒潮輸送水の空間構造を、とくに亜熱帯循環域の主要水塊の黒潮への流入に着目して明らかにすることを目的とした。気象庁による黒潮域の定線観測資料、新たに構築した黒潮を含む亜熱帯循環の広域の気候値データ、独自の船舶観測によって取得した黒潮域集中観測資料の解析をにより、以下のような新しい知見を得た。 1. 無流面を800dbar(東シナ海内)あるいは1000dbar(フィリピン海内)と仮定して得られる黒潮の地衡流量は流下方向に増加するが、増加量には0.1σ_θ幅のポテンシャル密度階級間で差があった。東シナ海から紀伊半島沖にかけて流量はほぼ2倍以上に増えるが、亜熱帯モード水(STMW)と北太平洋中層水(NPIW)を含む密度階級の増加が顕著であった。流量の増加に伴い、亜熱帯モード水の密度階級では高塩分化と高酸素化が、北太平洋中層水の密度階級では低塩分化と高酸素化が起こっていることがわかった。これは、黒潮がトカラ海峡を通過後、紀伊半島沖にいたるまでの間に、比較的新しいSTMWとNPIWが大量に黒潮に流入していることを示している。 2. STMWとNPIWは東方に起源をもち、黒潮再循環の西向きの流れによって黒潮に運ばれる。黒潮大蛇行期には再循環のパターンが変化し、この移流経路が遮断されるという従来の説を、黒潮輸送水の変化から確かめた。さらに、黒潮大蛇行にともない、黒潮再循環全域の海水特性が黒潮輸送水の変動と矛盾なく変化していることを気候値データから確認した。 3. 黒潮域集中観測資料により、海底あるいは2500barを無流面とした流れの場を求め、長期平均場に基づく1.の結果が、スナップショットでも成り立っていることを確認し、黒潮輸送水の詳細な空間構造を示した。
|