研究概要 |
北海道夕張地域に露出している古第三紀の石炭、炭質頁岩に堆積学的・有機地球化学的検討を加え、これら古第三紀陸源性堆積岩の炭化水素生成ポテンシャルについて検討した。その結果、これらは極めて優秀な石油生成能力を有していることが明らかになった。陸源性有機物にとむ堆積岩が厚く分布する北海道の古第三紀堆積盆は石油探鉱の有望な探査対照地域である。また、優秀な石油生成能力の背景として以下のことを明らかにした。(1)より泥質岩が卓越する湿原相の炭質泥岩、石炭が石油生成ポテンシャルが高い。これはわずかな水の営力によって運搬されやすい高等植物の部分ほど高い生成ポテンシャルをもたらすことを示唆している。(2)有機炭素濃度が高い陸成堆積岩ほど高い生成ポテンシャルを示した。堆積物内部も酸化的であると活性な有機物は好気性バクテリアの働きによって無機化してしまうので,泥質かつ有機質な堆積層ほど石油生成ポテンシャルが高くなることを示している。(3)炭質頁岩や石炭中から得られたトリテルパンがバクテリア細胞膜を形成するバクテリオホバノールと全く同じ炭素骨格をもっており、また、アンテイソアルカンが顕著に認められた。これは,海成根源岩とくらべて陸成根源岩ではバクテリアの活動がその生成ポテンシャルの向上に重要な役割を果たしていることを強く示唆している。(4)オレアナンやフイロクラダンの存在度から被子植物の寄与が大きいと予想されるものほど生成ポテンシャルが高い傾向が認められた。これは被子植物の寄与が生成ポテンシャルの向上に重要な役割を果たしていることを示している。
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