研究概要 |
水槽実験における高い流れ領域における堆積構造の発生研究として,とくに平坦ラミナの形成に焦点を絞った.平坦ラミナは低い流れ領域と高い流れ領域の二つの領域において形成されることは知られているが,高い流れ領域における平坦ラミナの形成過程については,不明な点が多かった.我々は東京大学海洋研究所に設置されている機械研究社(株)製の水槽実験装置を用いて,高い流れ領域における平坦ラミナの形成・保存を試みた.実験の結果,平坦ラミナの形成過程にはニつのタイプがあることが判明した.その(1)は,比高約1cm程度の低いレリーフを示すが,波長が80cmにも及ぶ長いリップル状のものが前進する過程で,磁性鉱物を含む細粒砂を被うような状態で平坦ラミナをつくっていくもの,そして(2)レリーフを作らず堆積面が平坦なまま,堆砂が前進していくもの,の二つのタイプである.フル-ド数は前者はFr=0.94,後者はFr=1.98などが代表的数値としてあげられる. このような二つのタイプの平坦ラミナの形成後,サンプルを合成樹脂で個化し,顕微鏡観察に供するため多数の薄片を作成した.その結果,低いレリーフを伴い,フル-ド数の小さな平坦ラミナの場合は堆積粒子のインブリケーションは殆ど認められず,レリーフを伴わずフル-ド数の大きな平坦ラミナの形成の際には30°にもおよぶ高角のインブリケーションが認められることが判明した,これらのデータは,我々が野外で平坦ラミナを堆積層中に認める際に,どのようなプロセスで平坦ラミナが形成されたのかを判定するのに大いに役立つものと期待される.
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