研究概要 |
1, 大江山オフィオライト:新見-東城岩体についてSm-Nd同位体年代測定を行い,粗粒斑れい岩が560Ma,これに貫入する細粒斑れい岩が350〜456Maであることを明らかにした. 2, 夜久野オフィオライト:変斑れい岩のSm-Nd同位体年代測定を実施し,340〜380Maの値を得た.また朝来岩体のトーナライト2試料のジルコンのU-Pb年代測定を行い,片麻状のものが285Ma,塊状のものが282Maに貫入したものであることを明らかにした.さに,朝来岩体の下部斑れい岩メンバー中に斑れい岩ミグマタイトを発見し,未成熟島弧下部における部分溶融過程を明らかにした. 3, ジュラ紀付加体中の緑色岩類:益田地域の緑色岩類についてSm-Nd年代測定を実施し,約340Maの値を得た.また,鳥取県用瀬町地域に産する緑色岩からアンカラマイトなどのアルカリ玄武岩を見出し,全岩化学分析からHIMU玄武岩に類似した極めて高いNb/Zr比を有していることを明らかにした. 4, その他の地域のオフィオライト:サハリン北部のシュミット半島オフィオライトについてSm-Nd,Rb-Sr,およびジルコンのSHRIMP年代の測定を実施し,125Maの値を得た.マリアナフォアアークオフィオライトについて変成相解析と蛍光X線分析を実施し,夜久野オフィオライトとの類似性を見出した. 5, データベースの構築:これまでExcelを使用していたデータベースを改訂し,「ファイルメーカーPro ver.3.0」を使用した地球化学用リレーショナルデータベースを完成させた. 6, まとめ:大江山オフィオライトに貫入している細粒斑れい岩・輝緑岩,秋吉列の海山群,夜久野オフィオライトの片麻状変斑れい岩,丹波帯の緑色岩類が共に350〜400Maという年代を示すことから,デボン紀〜石炭紀前期の同時多発的なプリュームの活動が浮かび上がってきた.
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