研究概要 |
今年度の研究は,昨年度の兵庫県南部地震の際の地下水の動きに関する大阪層群より新しい帯水層の検討に対して,その基盤を構成する花崗岩類の亀裂中の地下水の影響を主として検討した.亀裂の中の地下水の地震時の動きについては,すでに昨年度までにある程度検討していたが,それに加えて,基盤岩の上昇による亀裂の発達と風化による透水性の低下について検討し,以下の結論を得た. 1.淡路島や大阪平野地下など関西のいくつかの地域では,地震時に花崗岩類の上昇が認められ,それに伴う岩盤中の亀裂の発達が見られる.淡路島ではこの地震によって基盤の透水係数は3.6倍増加した. 2.関西における花崗岩類の上昇は高槻市での花崗岩類に含まれる黒雲母中のFe-Mg相対比が風化によって一定の変化曲線に乗って変化することを用いて風化度を計算すると,この岩体に近接する段丘の形成速度(平均上昇速度)にほぼ等しい速度であることが判明した. 3.上述のような花崗岩類の上昇に関しては,関西地区では適切な検討地がないために,中部日本の花崗岩類の形成年代と分布標高などから検討したところ,花崗岩類の上昇速度は平均0.2mm/年となり,オーダ的に活断層の活動周期と一致する.
|