研究概要 |
異なった環境を備える大村湾と大船渡湾で,生シストを含んでいる表層堆積物を簡易重力式コアラーで採取し,表層部2cmまでをシストの発芽実験を開始するまで,冷蔵庫で保存した.その後,ステンレス製の篩で堆積物を処理し,20umの篩上に残ったフラクションから生シストを培養容器に拾い出し,発芽実験を実施した. 培養対象種としてペレディニュウム目のTrinovantedinium capitatum,Brigantedinium majusclum,の他Tuberculodinium vancamposeを選び出した.その結果,Trinovantedinium capitatumと同定されたシストから,Protoperidinium conicumが発芽してくることが確認された.それは遊泳細胞の1'の幅が広いこと,縦溝域が後方中央部にまで到達していないこと,後角の先端がやや太くなり,その先端に刺を備えることなどに基づいている. またBirigantedinium majusculumと同定されるシストを培養した結果,発芽した細胞はProtoperidinium pentagonumと同定されるシストを培養した結果,発芽した細胞はProtoperidinium petntagonumと同定された.それは遊泳細胞が前後にやや押しつぶされていること.横溝の段差がその幅程度食い違っていること,腹域がややへこんでいることによる.従来の見解ではT.capitatumがProtoperidinium pentagonumのシストであるとされ,Selenopemphix quantaがProtoperidinium conicumでのシストであると考えられてきたが,今回の研究ではそれらが否定されることとなった. さらにTuberculodinium vancampoaeの培養実験から,このシスソはhypocys型ではなく,epicyst型の発芽孔を持つことが明らかになった.
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