研究課題/領域番号 |
08640654
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物理化学
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
大島 茂 東邦大学, 理学部, 助教授 (60168911)
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研究分担者 |
内田 朗 東邦大学, 理学部, 助教授 (30176680)
大西 勲 東邦大学, 理学部, 教授 (50057634)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1997年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1996年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 銀 / 表面 / 蛍光 / フルオランテン / 角度分布 / 薄膜 / 励起エネルギー移動 / 分子配向 / 吸着 / エネルギー移動 / 配向 |
研究概要 |
金属基板に吸着した分子からの蛍光測定のみにより、分子-基板間のエネルギー移動およびその配向依存性を調べることを目的として、真空槽中の温度可変基板の周りをライトガイドが回転できるように従来の装置を改良した。 銀基板上に吸着したフルオランテン分子からの蛍光測定を行なった。フルオランテン薄膜の蛍光減衰曲線は、ガラスおよび銀基板上でいずれも二つの指数関数の和、A_1exp(-t/τ_1)+A_2exp(-t/τ_2)で表された。溶液中の寿命τ_0(32.5ns)を基準にした相対量子収率Φ=(A_1τ_1+A_2τ_2)/τ_0を求めると、ガラス基板では薄膜の膜厚に関係なくΦは0.75であった。一方、銀基板では膜厚が100Aの時は0.21であった。銀基板上でのΦの減少はフルオランテンから銀基板へのエネルギー移動に起因していると考えられる。蒸着直後(T=180K)におけるフルオランテンの蛍光の角度分布を測定した結果、偏光子の偏光方向を蛍光観測面に対して「水平」にした場合でも角度分布に極大は現れなかった。このことは、フルオランテンの蛍光の遷移モーメントが銀基板に平行であることを意味している。基板温度を上げていくと、それにつれて「水平」の角度分布は「垂直」の分布に近づき、散乱パターンになった。フルオランテン分子の遷移モーメントの方向を計算によって求め、分子の吸着状態を推測した。分子は最初アモルファス状態で吸着しており温度の上昇に伴って結晶化が進むが、遷移モーメントの方向は基板に平行のまま保持されることが分かった。 以上、蛍光測定を基にしてフルオランテンの吸着状態、およびその励起状態から銀基板へのエネルギー移動について調べることができたが、角度分布測定と寿命測定を同時に行なうことができなかった。これは、フルオランテンの蛍光強度が期待していたより弱かったこと、膜厚の制御が難しかったことなどの理由による。
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