研究課題/領域番号 |
08640662
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物理化学
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研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
坂口 喜生 理化学研究所, 分子光化学研究室, 副主任研究員 (30167423)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1997年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1996年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | トリアリール燐 / 磁場効果 / 重原子効果 / 粘度依存性 / 三重項機構 / 分子性三重項機構 / Δg機構 / 置換基効果 |
研究概要 |
ナノ秒レーザーフォトリシス法を用いて、トリフェニル燐誘導体の低粘度均一溶媒溶液中における光化学反応を検討した。トリフェニル燐誘導体はその励起三重項状態からジアリール燐とアリールラジカルに開裂することが分かった。生成するジアリール燐ラジカルの収量は、磁場の増大とともに減少したが、0.1Tまでは目立った変化がなく、0.1Tから5Tの間で著しく減少し、それ以上の磁場では変化が見られなかった。観測された磁場効果はラジカル対に基づく磁場効果を説明する超微細機構、Δg機構、緩和機構によっては説明できなかった。ラジカル対錯体の磁場効果を説明するSteinerの三重項機構は、磁場依存性と重原子効果については実験結果を説明できた。しかし、直鎖アルカン溶液の粘度効果に対する予想は実験結果より大きく、2-プロパノール・シクロヘキサン間の差違は粘度によっては説明できなかった。 粘度依存性の原因を考察したところ、ラジカル対錯体でなくその前駆体の励起三重項分子が磁場依存性を示すと仮定すると、予想より小さな粘度依存性を説明できることが分かった。そのほかいくつかの解釈上の難点も、励起三重項分子を主体として考えることで避けることができた。従って、トリフェニル燐誘導体の磁場効果はこれまで知られていたラジカル対の磁場効果によるものではなく、励起三重項状態分子の失活過程の磁場効果に基づく新規な磁場効果であることが分かった。
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