研究概要 |
1.2-tert-ブチル-6-(ジメチルアミノおよびアセトキシ)フルベンの合成法を検討し,これらと数種のメソイオン化合物の反応生成物を,今回の補助金で購入した分取液体クロマトグラフィーを多用して精査した。 2.上記反応では予想通り[4π+6π]双極環状付加-エクストルージョン-脱離反応を起こし,アズレンと等電子的な縮合複素環を与えることを見いだした。またこの型の反応は,2-非置換フルベン類でも低収率ではあるが起こることを見いだした。 3.2-tert-ブチル-6,6-ジメチルフルベンとメソイオン化合物の反応では[4π+6π]環状付加体以外に[4π+2π]環状付加体も生成することを見いだした。ジメチル体の一部の反応では付加環化体のエクストルージョン反応以外に興味深い転位反応が起こる場合もあることを見いだし,これら転位化合物の構造をX線解析等によって明らかにするとともに,その反応機構を考察した。 4.メソイオン型4-オキサゾロンは痕跡量の酸素と反応して、珍しい型の酸化二量体を与えることを見いだし,この構造をX線解析等によって確定した。 5.上記のアズレンと等電子的な縮合複素環のスペクトル解析から,これら複素環はアズレン類似の電子配置を取り,大きく分極していることを明らかにした。 6.上記の諸反応をMNDO計算結果に基づいて考察し,これらの反応は[4π+6π]環状付加も[4π+2π]環状付加も協奏的に起こることが可能であることを明らかにするとともに,2位のかさ高い置換基が反応の周辺選択性を大きく支配することを明らかにした。
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