研究課題/領域番号 |
08640719
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
無機化学
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
小嶋 良種 大阪市立大学, 理学部, 教授 (40047139)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1997年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1996年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | N,N'-エチレン架橋ジペプチド / 銅(II)錯体 / 金属酵素モデル / ヒスチジン / チロシン / 銅錯体 / エチレン架橋ジペプチド |
研究概要 |
ガラクトースオキシダーゼモデルとして、1つの銅(II)イオンに2つのヒスチジン残基のエナミン窒素と2つのチロシン残基のヒドロキシル酸素が配位した4種類の新規銅(II)錯体を合成した。配位子としては、(S)-ヒスチジンメチルと(S)-チロシンエチルエステルにグリオキザ-ルとNaBH_3CNを加えて合成・単離した新規なN,N'-エチレン架橋-(S)-ヒスチジル-(S)-チロシンエチルエステル(eHY-OEt)を出発物質として、Boc-Gly-eHY-OEt(B-HL1)とAc-eHY-OEt(A-HL1)およびB-HL1とA-HL1をアンモニアによりアミド化したBoc-Gly-eHY-NH_2(B-HL2)とAc-eHY-NH_2(A-HL2)を合成して用いた。これらを配位子として、溶解度の違う4種類の錯体、[Cu(B-L1)_2(H_2O)]1、[Cu(B-L2)_2(H_2O)]2、[Cu(A-L1)_2(H_2O)]3と[Cu(A-L2)_2(H_2O)]4、の合成に成功した。 メタノール中での塩化銅(II)とB-HL1との連続変化法(Job's plot)から、Cu^<2+>:B-L1が1:2錯体であり、種々の溶媒(ジクロロメタン、アセエトニトリル、DMSOとメタノール)中で錯体1のCDおよび電子スペクトルはほぼ同じであった。また、メタノールおよびアセトニトリル中で、過剰のピリジンを加えてもそれらのスペクトルに変化が見られないことから、錯体1は、それらの溶媒中で単核で存在することを明らかにした。さらに、可視およびCDスペクトルのd-d遷移から、square pyramidal構造をとることを推定した。 アセトニトリル中で、B-HL1および錯体1のCV測定を行った。B-HL1は、530(フェノール)と1020(イミダゾール)mVにピークをもつ2つの非可逆な酸化波を示した。Boc-Gly-eHH-OMeでは1020mVにイミダゾールに、Boc-eYY-OEtでは1140と1310mVにフェノールによる酸化波を示す。これらと4-メチルイミダゾールとp-クレゾールの電位との比較により、B-HL1の電位は、フェノールは負に、イミダゾールは正に大きくシフトする。これらの要因として溶液中では、B-HL1はphenol-imidazoleからphenolate-imidazoliumの双性イオンを形成する。このことはA-HL2の酸解離定数がフェノールは酸性側に、イミダゾールはアルカリ側にシフトすることからも支持される。従って、フェノールはより酸化され易く、イミダゾールはより酸化されにくい。錯体1では、この電位は1200mVと正に大きくシフトする。また、錯体1の還元波は-1500mVまでの範囲において観測されなかった。
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