研究課題/領域番号 |
08640728
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
無機化学
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
小堤 和彦 立命館大学, 理工学部, 助教授 (50177250)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1996年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | カロリメトリー / 錯形成の熱力学的パラメーター / アルカリ土類金属イオン / 18-クラウン-6 / 混合溶媒 / 選択溶媒和 |
研究概要 |
アセトニトリル(MeCN)と炭酸プロピレン(PC)中およびN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)-アセトニトリル(MeCN)混合溶媒中における18-クラウン-6とアルカリ土類金属イオンの錯形成の熱力学的パラメーターをカロリメトリーにより決定した。 MeCN中におけるアルカリ土類金属の18-クラウン-6錯体の生成はPC中よりもずっと有利である。これは、PC中での錯体形成のエンタルピー変化がMeCN中より30〜50kJmol^<-1>も発熱的であり、錯形成はエンタルピー的にはひじょうに有利であるのに対して、MeCN中の錯形成のエントロピー変化はPCと比較すると、50〜70kJmol^<-1>も有利であるためである。MeCNとPCの電子対供与性と受容性が比較的類似しているにもかかわらず、エンタルピーとエントロピー変化が大きく異なるのは、MeCN分子が双極子-双極子相互作用により18-クラウン-6に強く溶媒和するため、MeCN中では錯形成の際に18-クラウン-6の脱溶媒和に要するエネルギーが大きくなり、18-クラウン-6に強く結合していたMeCN分子がバルク相で大きな自由度を獲得するためである。 DMF-MeCN混合溶媒中において、ストロンチウムとバリウムイオンは18-クラウン-6と錯形成するのに対して、カルシウムイオンは錯形成しない。混合溶媒中での錯体の安定度は、MeCNのモル分率が0〜0.5までは純DMF中と同程度であるが、0.5を越えると安定度は大きくなる。また、エンタルピーとエントロピー変化ともに、MeCNのモル分率が増加すると増加して行き、混合溶媒中のエンタルピー変化は、MeCN、DMFいずれの純溶媒中よりも発熱的ではない。DMFはMeCNよりも電子対供与性が強く、混合溶媒中で金属イオンはDMFに強く溶媒和され、一方、18-クラウン-6はMeCNと強い親和性を示すので、混合溶媒中で18-クラウン-6はMeCNに強く溶媒和されると考えられる。混合溶媒中で得られた錯形成の熱力学的パラメーターは、DMFのモル分率にかかわらず金属イオンはDMFに選択的に溶媒和されており、18-クラウン-6はMeCNのモル分率の増加とともにMeCNによって選択的に溶媒和される割合が増加するということにより解釈することができる。
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