研究課題/領域番号 |
08640781
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
分離・精製・検出法
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研究機関 | (財)山形県テクノポリス財団(生物ラジカル研究所) |
研究代表者 |
吉村 哲彦 生物ラジカル研究所, 化学第一研究部, 部長 (70271517)
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研究分担者 |
藤井 敏司 生物ラジカル研究所, 化学第一研究部, 研究員 (80271518)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1997年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1996年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 一酸化窒素 / 生体内一酸化窒素 / トラップ / 鉄錯体 / 電子スピン共鳴 / ジチオカルバメート / ジチオカルボキシサルコシン |
研究概要 |
単純な2原子分子の気体のNOが、思いがけない能力を生体内で発揮していることがわかってから10年が経過した。この10年間に「NOの生理的・病理的役割」に関して実施された精力的な研究はめざましい成果を上げ、[NOの生理活性分子」という位置付けが定着している。生体内で産生される内因子性NOの多様な生理的作用を評価するためには、細胞、組織、器官におけるNOの濃度と分布に関する知見が必要である。NOは無機ラジカルであり、電子スピン共鳴(ESR)装置を用いるスピントラップ法の適用が可能である。このような観点から、NOと結合して安定なラジカルを生成するスピントラップ試薬の開発が望まれてきた。NOは金属(特に鉄)に対して高い親和性をもっているので、鉄錯体はNOトラップ試薬として有望である。本研究では、安定なNO錯体を生成するジチオカ-バメート誘導体を配位子とする鉄錯体を合成し、in vitroおよびin vivoの系でNOのトラップ試薬として適用した。本研究の成果は以下の通りである。 1.NOのトラップ効率は溶媒(緩衝液)により変動するが、本錯体は既報告のNOトラップ錯体よりも高効率でNOを捕捉できることを明らかにした。 2.NOの産生量が最も少なく、検出が難しいといわれている血管内皮細胞由来のNOも、本NOトラップ試薬によって捕捉・検出することができた。 3.in vivo ESR画像化システムを用いて、マウスの体の中でつくられたNOラジカルを上記トラップ試薬で捕捉して、画像化することに成功した。体の中でつくられた生物ラジカルのin vivoでの画像化としては本例が世界初である。 4.ラットの脳に細菌性髄膜炎を惹起して、脳内に産生されたNOをin vivoで測定することに成功した。細菌性髄膜炎に対するNOの関与を直接証明することができた。 5.血管拡張薬の一つである硝酸イソソルビド(ISDN)を投与したマウスの腹部で、ISDN由来のNOを検出し画像化した。肝臓と腎臓の明瞭な画像が得られた。 本研究で開発し、種々の系に適用したNOトラップ試薬は、生体内で産生されるNOの生理作用や病理作用を明らかにする上できわめて有効であることが明らかとなった。今後も実施例を増やすとともに新規なNOトラップ試薬の開発に努めたい。
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