研究概要 |
モノクロナル抗体AE03を用いた蛍光抗体法によってatrichous isorhizaの形態と、その形成過程をそのごく初期から観察・記載することができた。共焦点走査型レーザー顕微鏡などで観察する事によって、詳細な立体構造の解明も行った。その中で、形態形成過程における1つのネスト(細胞質連絡を持った刺胞芽細胞のクローン集団)の内での形態形成の同調性の維持に細胞質連絡が不可欠であることや、完成された刺胞の運動方向などに関しても一定の知見を得た。 以上の結果は、97年9月にドイツで開催された第7回国際腔腸動物発生ワークショップで発表し、Development,Genes and Evolution誌に投稿し、1997年の207巻6号p.413-416に"Morphogenesis of the atrichous isorhiza,a type of nematocyst,in Hydra observed with a monoclonal antibody"と題して掲載された。 現在は、チクビヒドラ(Hydra magnipapillata)の標準野性型の系統105をハイドロキシウレア処理する事によって、刺胞芽細胞の幹細胞である間細胞を極端に減少させたヒドラをつくり、そのヒドラにおけるatrichous isorhizaの形態形成過程を、ホールマウント標本とマセレーション標本とをモノクロナル抗体AE03を用いて蛍光抗体法によって観察し、形態形成のより詳細なタイム・コースを解析する研究を進めつつある。また、間細胞を完全に取り除いた上皮ヒドラに少数の間細胞を導入しその個体での刺胞芽細胞の再出現過程を詳細に観察することも計画し、上皮ヒドラの飼育に取り組んでいる。
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