研究概要 |
本研究は、ニセヒメショウジョウバエ属を中心としてショウジョウバエ科の系統関係を形態形質により解析することをめざして、1)ニセヒメショウジョウバエ属の単系統性を検討する。2)ニセヒメショウジョウバエ属の各種群間及び本属とショウジョウバエ亜科の主な分類群間の系統関係を明らかにすることを目的とした。ショウジョウバエ科10属41種を66形質について分岐分析した結果、次の結論が得られた。1,ニセヒメショウジョウバエ属は多系統群である:fenestrarum種群、nigricolor種群、miki種群、denticeps種群は一つ単系統群にまとめられるが、tenuicauda種群はトゲオショウジョウバエ属と一緒に別の単系統群を形成する。2,ニセヒメショウジョウバエ属の5つの群群のうち、fenestrarum種群、denticeps種群は単系統群であるが、nigricolor種群は2つの別々の単系統群に分割され、tenuicauda種群は側系統群である可能性がある。また、miki種群の単系統性は今のところ結論できない。3,fenestrarum種群、nigricolor種群、miki種群は単系統群を形成し、denticeps種群と姉妹群の関係にある。4,この4種類から成る単系統群はシマショウジョウバエ亜属と姉妹群の関係にある。5,フサショウジョウバエ属とヒメショウジョウバエ属はそれぞれ単系統群である。 6,ショウジョウバエ亜科の中では,まず最初にマメショウジョウバエ属が分岐した。しかし、その後の単系統群(ニセヒメショウジョウバエ属+シマショウジョウバエ亜属、トゲショウジョウバエ属+tenuicauda種群、ハシリショウジョウバエ属、フサショウジョウバエ属、ヒメショウジョウバエ属、ヒョウモンショウジョウバエ亜属、ショウジョウバエ亜属)の分岐関係については、まだ結論できない。
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