研究課題/領域番号 |
08640904
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
系統・分類
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研究機関 | (財)日本きのこセンター |
研究代表者 |
長谷部 公三郎 財団法人 日本きのこセンター, 研究員 (10124330)
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研究分担者 |
霜村 典宏 財団法人 日本きのこセンター, 研究員 (00250093)
常田 昭彦 財団法人日本きのこセンター, 菌蕈研究所, 研究部長 (30142087)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1996年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 交雑F_1 / 遺伝学 / 地理的系統 / 形態学 / 生理学 / シイタケ / 分類学 |
研究概要 |
アジアからオーストラリアにかけて広範に分布し、Pegler(1983)によって独立した3種に分類されているシイタケの地理的系統(日本産、パプアニューギニア産およびニュージーランド産、各2菌株)およびこれら6菌株の構成一核菌糸間の交配によって得られた交雑F_1を用いて、本菌の形態分類の基準とされる諸特性(菌傘の大きさ、色、肉の厚さ、菌柄の太さおよび色など)の遺伝的解析および子孫形成能力の分析を行った。 パプア産は鱗皮の少ない明赤褐色の菌傘を特徴としたが、傘の大きさ、柄の太さおよび肉の厚さは2菌株間で大きく異なった。ニュージーランド産は暗褐色の菌傘と赤褐色の繊毛で覆われた柄を特徴とした。供試した日本産は褐色の菌傘を特徴とし、1菌株は明らかに厚肉であった。地理的系統間の交雑F_1におけるこれらの形質の発現を分析したところ、菌傘の大きさ、肉の厚さは、ポリジーン系によって支配されているものと推測された。菌傘の色に関しては、交雑F_1間でも比較的明瞭な差異が検出され、ニュージーランド産を片親にもつ交雑F_1はすべて暗褐色の菌傘を示した。日本産とパプア産との交雑F_1においては、パプア産の特定の構成-核菌糸を片親とする交雑F_1が褐色の菌傘を示し、他の交雑F_1の菌傘はすべて赤褐色であった。これらのことから、菌傘の色には複数の不完全優性遺伝子が関与し、遺伝子数によって色の濃さが決定されるものと類推できた。交雑F_1の子孫形成能力を分析したところ、担子胞子の発芽、コロニー形成、交配による二核菌糸の確立などの交雑F_2世代形成過程の各々の段階においてなんら異常を認めなかった。交雑F_2集団の菌糸伸長を分析したところ、1例を除く交雑F_2集団において自殖弱勢が発現した。交雑F_2集団の示した弱勢は、地理的系統の次世代における弱勢の発現程度と比較して、大きく逸脱したものではなかった。これらのことから、形態的特徴および地理的分布に基づいて3種に分類(Pegler)されたアジアからオーストラリアにかけて分布するシイタケ集団は同一種、Lentinula edodesとして扱うべきであると判断された。
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