研究概要 |
中性子線画記録材料としての可能性を持つ硼酸マグネシウムを育成,光物性を調べるとともに,不純物をドープした場合の輝尽発光材料としての特性を調べた. 1.資料結晶の育成 炭酸マグネシウムと硼酸を混合し,摂氏740度で72時間焼結する事により,目的とするMgB_4O_7の粉末結晶を得た.なを,合成の際に24時間毎に取り出し,粉砕混合して固相反応が起き易い様にした.ぼ全量の炭酸マグネシウムと硼酸が化合して硼酸マグネシウムとなっていることはX線回折により確認した. 2.固有発光スペクトルの測定 X線を硼酸マグネシウムの粉末結晶に照射した後,購入した蛍光分光光度計で固有発光を測定した.その結果,純粋な硼酸マグネシウムはX線を照射しても欠陥などの損傷を受けないことが分かった.この結果は,画像記憶材として見た場合,劣化が少ないことを意味する.今後X線照射時における発光を観測する準備を進めている. 3.輝尽発光の測定 炭酸マグネシウムと硼酸に更に酸化ディスプロシウムを0.5%を混入してディスプロシウムをドープした硼酸マグネシウム粉末結晶を育成できた.この試料にX線を照射した後,蛍光分光光度計により発光を測定した.その結果,この試料は輝尽発光を示すことが確認された. 4.低温における固有発光,輝尽発光中心 現在,低温にて輝尽発光の励起スペクトルを測定し,輝尽発光中心の同定を試みている.今後,中性子線を照射して,所期の目的である中性子線画像記録材としての性能を評価するつもりである.
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